【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
「すごいぞミーティア! お前にこんな才能があったなんてなぁ!」

「ええ! すごいわ。あなたならカルミア侯爵家じゃなくて、もっと上の結婚相手を狙えるわ。この国の王侯貴族は、みんな異能者を欲しがっているんだもの。それこそ、王族とか……」

 両親は想像以上に強欲だった。妹に利用価値があると分かった途端、出世の皮算用を始めた。

 異能を失った私になんて目もくれない。妹に力を奪われ傷ついた私の心に寄り添うとか、「エスターに力を返しなさい」とミーティアを叱りつけたりもしない。
 
 
 私は、やっぱり、と思った。

 
 もともと、両親に愛されていないことは、何となく察していた。

 彼らにとって重要なのは、娘に利用価値があるか、ないか。ただそれだけ。

 
「それで、私の異能はいつ返してくれるの?」

 冷たく問うと、ミーティアは「返し方なんて分かりませんわ、ごめんなさいね」と謝る。罪悪感なんて、これっぽちも感じていない顔だった。
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