【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~

シナリオのその先

 ウォルス伯爵の裁判から早数週間。
 
 城下は王位争いの話題で持ちきりだった。
 
 
 新聞では連日、シリウスとメイナードの人柄や政策が報じられている。
 
【王都広場でシリウス殿下が演説。――『平民や異能力のない人にも開かれた社会を目指す』】

【人気高まるシリウス殿下、陰りが見えるメイナード殿下。王位争いの明暗分かれる】

 
 裁判の日を境に、王子二人の立場が逆転した。
 
 シリウスは持ち前のリーダーシップと才覚で、新たな法制度や開かれた社会づくりに着手。公務の合間に各地で演説をして、視察や慰問も精力的に行っているらしい。

 また、アストレア監獄の看守が買収された件や、カルミア侯爵の汚職発覚などを受け、各方面の人事も大きく見直すようだ。
 

 民の声に耳を傾けるシリウスの誠実な姿勢に、王室への国民感情もやわらぎ、革命の気配は街から消え失せていた。

 
 シリウスへの期待が高まる一方、メイナードとミーティアの人気は急落。
 
 特にミーティアは『聖女』という清らかなイメージを打ち出していた分、国民の落胆はすさまじかった。

 (ちまた)では、メイナード殿下を堕落させた悪女、とまで囁かれている。
< 165 / 226 >

この作品をシェア

pagetop