【コミカライズ配信中・書籍化決定】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
もろい砂の器に大量の水が注がれ、どろりと崩れるように。
ミーティアはもとの姿が分からないほど変質していた。
「……ぁ。あれ……?」
大理石の床に映った自分の姿を見て、ミーティアが首をかしげる。
「これ、だぁれ?」
顔をペタペタと触り、それが自分だと分かった瞬間。
「――――――ッ」
しゃがれた叫びを上げて崩れ落ちた。
「一つでさえ身に余る力を、欲望のまま貪った代償だ」
もはや立ち上がることすら出来なくなった憐れな元聖女を見下ろして、シリウスは冷たく言い放った。
「――連れて行け」
全てを失ったミーティアは、茫然自失のまま騎士に引きずられていく。同時に、広間の隅で丸くなっていたメイナードも連行される。
その際、ミーティアがしゃがれた声で、呪詛の言葉を吐いた。
「殿下ぁ、あたしを裏切ったわね……酷い男……許さないんだからぁ」
二人の背中を見送って、シリウスが「終わったな」と呟いた。
戦闘の爪痕が残る広間を見回して、私は苦笑する。
「玉座の間もあなたもボロボロ。これじゃあ、しばらく王位継承の式典はお預けね」
シリウスが私の肩を引き寄せ、ほほ笑む。
「療養中は看病してくれるんだろう?」
「もちろんよ」と答えると、彼が嬉しそうに目を細めた。
こうして聖女ミーティアの幸福は、跡形もなく消え去った――。
ミーティアはもとの姿が分からないほど変質していた。
「……ぁ。あれ……?」
大理石の床に映った自分の姿を見て、ミーティアが首をかしげる。
「これ、だぁれ?」
顔をペタペタと触り、それが自分だと分かった瞬間。
「――――――ッ」
しゃがれた叫びを上げて崩れ落ちた。
「一つでさえ身に余る力を、欲望のまま貪った代償だ」
もはや立ち上がることすら出来なくなった憐れな元聖女を見下ろして、シリウスは冷たく言い放った。
「――連れて行け」
全てを失ったミーティアは、茫然自失のまま騎士に引きずられていく。同時に、広間の隅で丸くなっていたメイナードも連行される。
その際、ミーティアがしゃがれた声で、呪詛の言葉を吐いた。
「殿下ぁ、あたしを裏切ったわね……酷い男……許さないんだからぁ」
二人の背中を見送って、シリウスが「終わったな」と呟いた。
戦闘の爪痕が残る広間を見回して、私は苦笑する。
「玉座の間もあなたもボロボロ。これじゃあ、しばらく王位継承の式典はお預けね」
シリウスが私の肩を引き寄せ、ほほ笑む。
「療養中は看病してくれるんだろう?」
「もちろんよ」と答えると、彼が嬉しそうに目を細めた。
こうして聖女ミーティアの幸福は、跡形もなく消え去った――。