【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
その後、アデルの両親から昼食に誘われた私は、ご厚意に甘えることにした。
アデルの母、シレーネ夫人が微笑みながら「エスター、これも美味しいわよ。お肉よりお魚の方が好きよね?」と私の皿に料理を盛り付けていく。
それを見ていたアデルの父・シレーネ様がため息をついた。
「おいおい、お前。勝手に料理を取り分けるんじゃない。そんなに沢山食べきれないだろう? まったく……うちの妻がすまないね」
「あら、私ったら、つい。二人ってなんだか雰囲気が似てるでしょう?」
スープを飲んでいたアデルが「目の色が似ているからよ」と嬉しそうに言った。シレーネ夫妻が「確かに」と頷く。
「それでつい、娘が増えた気分になるのよね。伯爵家のお嬢さんなのに、馴れ馴れしくして、ごめんなさい」
「いいえ、謝らないで下さい! 私、こういう家族団らんは久しぶりなので、すごく嬉しいです」
笑顔で言うと、私の状況をどことなく察しているシレーネ夫妻は切なげに目を細めた。すぐさま「それは良かった」と優しくほほ笑む。
二人は昔から、私のことを実の娘のように可愛がってくれていた。
利用価値の有無で扱いを変える実の両親とは大違いだ。
(幸せだな……。神様、私多くは望まない)
地位や名誉、異能の力。そんな特別な物は何も要らないし、欲しがらない。
私が望むのはただひとつ。愛し、愛されたいだけ。
自分が相手を想うのと同じくらい、想われたい。
必要とされる『居場所』が欲しい。
だが神は、そんなささやかな願いすら聞き届けてはくれなかった――。
アデルの母、シレーネ夫人が微笑みながら「エスター、これも美味しいわよ。お肉よりお魚の方が好きよね?」と私の皿に料理を盛り付けていく。
それを見ていたアデルの父・シレーネ様がため息をついた。
「おいおい、お前。勝手に料理を取り分けるんじゃない。そんなに沢山食べきれないだろう? まったく……うちの妻がすまないね」
「あら、私ったら、つい。二人ってなんだか雰囲気が似てるでしょう?」
スープを飲んでいたアデルが「目の色が似ているからよ」と嬉しそうに言った。シレーネ夫妻が「確かに」と頷く。
「それでつい、娘が増えた気分になるのよね。伯爵家のお嬢さんなのに、馴れ馴れしくして、ごめんなさい」
「いいえ、謝らないで下さい! 私、こういう家族団らんは久しぶりなので、すごく嬉しいです」
笑顔で言うと、私の状況をどことなく察しているシレーネ夫妻は切なげに目を細めた。すぐさま「それは良かった」と優しくほほ笑む。
二人は昔から、私のことを実の娘のように可愛がってくれていた。
利用価値の有無で扱いを変える実の両親とは大違いだ。
(幸せだな……。神様、私多くは望まない)
地位や名誉、異能の力。そんな特別な物は何も要らないし、欲しがらない。
私が望むのはただひとつ。愛し、愛されたいだけ。
自分が相手を想うのと同じくらい、想われたい。
必要とされる『居場所』が欲しい。
だが神は、そんなささやかな願いすら聞き届けてはくれなかった――。