【コミカライズ配信中】アデル~顔も名前も捨てた。すべては、私を破滅させた妹聖女を追い詰め、幸せをつかむため~
悪役王子シリウス
(まずい、まずい、まずい――ッ!)
目の前で具合悪そうにしゃがみ込んだ人が居たから、思わず声をかけたら、まさかのダニエルだった。
(よりによってダニエルに出くわすなんて……ああっ、もう!なんて日よ!)
「そこのお前!待て!」
(ええ、なんで追ってくるの……)
無視して歩き続ける私の後ろで、ダニエルが「待て」だの「止まれ」だの叫んでいる。ソニアが情報収集しに行っているときに限って、面倒なことになってしまった。
(まさか、私がエスターだとバレた? いやいや、施術は完璧お化粧もバッチリだもの。バレるはずがないわ。じゃあなんで追いかけてくるの?)
自問自答しながら廊下を歩いていると、ついに手首をつかまれた。
諦めて後ろを振り返る。
息を切らしたダニエルが「どうして逃げるんだ」と語気を荒げた。
「気安く声をかけてしまい、お叱りを受けるのではないかと動揺してしまいました。ご無礼をお許しください、ダニエル・カルミア様」
「俺のことを知っているのか?」
目の前で具合悪そうにしゃがみ込んだ人が居たから、思わず声をかけたら、まさかのダニエルだった。
(よりによってダニエルに出くわすなんて……ああっ、もう!なんて日よ!)
「そこのお前!待て!」
(ええ、なんで追ってくるの……)
無視して歩き続ける私の後ろで、ダニエルが「待て」だの「止まれ」だの叫んでいる。ソニアが情報収集しに行っているときに限って、面倒なことになってしまった。
(まさか、私がエスターだとバレた? いやいや、施術は完璧お化粧もバッチリだもの。バレるはずがないわ。じゃあなんで追いかけてくるの?)
自問自答しながら廊下を歩いていると、ついに手首をつかまれた。
諦めて後ろを振り返る。
息を切らしたダニエルが「どうして逃げるんだ」と語気を荒げた。
「気安く声をかけてしまい、お叱りを受けるのではないかと動揺してしまいました。ご無礼をお許しください、ダニエル・カルミア様」
「俺のことを知っているのか?」