麻衣ロード、そのイカレた軌跡❺/二つの情念、炎上す

麻衣の点火した導火線~運命の涙は少女にまなじりを決させた

事前注釈:本作の前段階ストーリーは、本サイト連載中の『麻衣ロード、そのイカレた軌跡/補完エピソーズ集』で”愛とワナ”としてコンプリートアップする予定ですので、よろしければご参照ください❣



その1
ケイコ


涙、止まんないや、やっぱり

家に帰っても放心状態だよ、私、はは…


...



下でお母さんの声がしてるかな…

ああ、お母さんが上がってきた

「ケイコ、テツヤ君から電話だってば。さっきから、呼んでるのに。寝てるの?」

2階の部屋で私、ベッドに横になって布団かぶってたからさ…

「電話には出たくないんだ。そう言って。テツヤには…」

私は、部屋の外にいるお母さんに力のない声で答えた

「何言ってんのよ、あなた…」

「とにかく、話ししたくないんだよ」

「しょうのない子ね…。まったく、どうしたっていうのよ!」

お母さん、呆れて階段を下りて行っちゃった


...



「ケイコ、入るわよ」

「…」

「どうしたの、ケイコ?さっき外出した時、テツヤ君も一緒だったんでしょ?何かあったのね…」

「…テツヤ、なんか言ってた?」

「いえ…、何も。何しろあなたを心配してたわ」

「どんな様子だった?」

「まるでテツヤ君じゃないくらい、元気がなかったわ。何があったのよ、一体?」

「今は話したくないんだよ、お母さん…」

「そう…。でも、大丈夫なのね?あなた」

「うん。今日は一人にしといて欲しいんだ。落ち着いたら、ちゃんと話はするから。お母さん…」

お母さんは、それ以上聞いてはこなかった

とにかく、テツヤは無事に家へ帰っていたようだ

まさか、あの後、乱暴とかはされていないとは思うし…

ちょっとは気になるけど、最低限は安心した


...



さて…、どうせ今夜は眠れないんだ

よし、今日の出来事から逃げずに、可能な限りは”結論”を出そう

そりゃあ、つらいけど…

それを避けてたら、何も始まらない気がするんだ

夜通しでもやってやる

まずは頭を整理しなくちゃ…


...



私は最初に、”あいつら”の動機と目的を考えてみた

公園に参集した女は15人と言っていたが、16人だと思う

うち、10人が”彼女軍団”と称されてた、テツヤのことに好意を寄せてる連中だ

こいつらの動機は単純明快だ

私とテツヤが付き合ってることが許せないんだろう

R子とW子は、自分達で言っていたが、タカちゃんが転校してきた時を具体的に挙げて、そもそもの私の行動とかが気に入らなかったと…

面識のないあとの二人も、はっきりした理由はわからないが、私のことを憎んでいるか嫌っているってところらしい

そして岩本真樹子は、逆髪神社の時、私に”邪魔”されたことへの恨みだよな

あと一人は、岩本がうっかり人数を間違てたのかな…

ここで言えるのは、今日揃った女たちの大半は、私とテツヤを切り離したいという動機からということではある

だけど、それ以外の動機を持った女も集まって、一つの行動に決起したと…

彼女らの目的は、簡単に言えば横田競子を、みんなでとっちめてやりたい

まあ、そういうことになる

ただし、その目的は同じでも、直接動機は異なる10数人が結集し、実際にあのような行動を起こした訳だよ

なら、その意味を考えてやるぞ





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