The Tricks Played by Destiny
息を吐いたと同時に目を開けていた。
殺気は含んでいないものの鋭さを持った視線を寄越すジークが見える。その目からは何も読み取れない。


ただただひたすらにあたしを見ている。


何事かわからない。

あれほどまでに強大な力を持つジーク、突然それを消したのか、わからないからあたしもただ見つめた。見合ってるのに目が合っているとは思わない。

あたしを見ながら、あたしじゃないどこかを見ている。


声を出せないほどの疲労感に教われて、ただ彼の一挙一動を見守るしかない。どう転ぶかは、あたしの命運は彼が握ってるといっても過言じゃない。


彼が立ち上がる。
一歩、また一歩と近付くにつれて無意識に震える身体。……ジークに怯えている。息を止めてしまいそうな殺気を放っていたジークに身体が拒否反応を起こしてる。


本当に腰を抜かしたみたいで、逃げることも叶わない。あたしのそばに立って見下ろされる。

ごぐりとのどを鳴らすように、つばを飲み込む。
時が止まったみたいに、すべての動きが止まった。

たった数秒が、それ以上に感じる。



怖いのに、目は逸らせない。
その目に捕われてしまったみたいに。


手が上がる。
何をされるのかわからない分、恐怖は増幅する。

手が下ろされると、反射的に目をつぶってしまい、声が漏れた。
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