The Tricks Played by Destiny
「いやっ……」

「って、お前ばかだな」



想像していたような衝撃はいつになっても来ず、呆れた声だけがあたしの鼓膜を震わす。

わけがわからぬまま、促されて目を開けたらジークはため息をついて、なんの感情も見えない表情をしていた。



「ジー……、ク?」

「あちらの人間がどう考えてんのか知らないが、こちらはもう恨みなんてない」



淡々と言葉だけを連ねていく。
理解しようと頭をフル回転させて、ようやく意味にたどり着く。


しかし、人間を敵視する思考は遥か昔から連綿と続けられているはずで。
ジークもそう言ったはずだ。


あちらに気を許した奴がいる、と。

それは気を許していないことを示唆する言葉で。



だから、殺気に、この世界に怯えたというのに。
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