The Tricks Played by Destiny
「ヴァンパイア」



たった一言。
それだけを言った。


無愛想だ、と小さく呆れ声をあげたのはあたしではない。隣に寝そべっていたレオ。
狼のレオルドだった。


あまりあたしに気を許してないようなジークとは対象的にレオはあたしに親切だ。



「ジーク、もうちょっと言いようがあるんじゃないのか」

「迷惑を被ってる」



レオから目を逸らして窓の外を見たジークに、なにか思うところがある。


外を真剣に見ているから何かあるのかとあたしも釣られて目を向ける。
けれど、何も特別なものなんて見当たらず、木々が生い茂っているだけ。
不可侵の森だけあって気味が悪いとは思うけれど。


……あちらでは不可侵の森と言って地元の人間でも森の奥深くまで入ろうとはしない。川が遮りあちらとこちらを分け隔てていると知ってはいるが本当に川を見たものなんていないと思う。

大陸を2つにわけるように森と川がある、と知っているだけ。


でもそれはあちらの話。
じゃあこちらは?


ここは森の中、なのに倒れたあたしを見つけ、つれてきたレオとジークはなんであんなところにいたの。
こちらでは、不可侵ではないの。


疑問が浮かぶ。
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