The Tricks Played by Destiny
……帰らない。
あたしが、口を開いて話し出そうとしたのに。
ジークの舌打ちで遮られ言葉が詰まる。ジークはどこかを向いて、あたしに見向きもしない。


ナニソレ!
話を聞いてくれたって……。


内心文句たらたらでいたけれど、気付けばレオも起き上がり毛を逆立てている。
唸り声を上げ、ジークと同じ方向を睨み付け、今にも臨戦体制が整ったともいうような。

何があるのかと目を向けて後悔した。
喉の奥を引き攣るような声ならぬ声。



「ちっ、隠し切れなかったか。レオ」



レオに寄せたジークの瞳は、漆黒ではなく赤色。
血の色。



「無理だ」

「なら、撒く」



窓ガラスが割れるのと、あたしの視界がぐるりと揺れたのはほぼ同時。
赤い瞳がすぐそばにあった。



割れたガラス破片の上に立つ異臭を放つもの。
獣の臭い。

不快な臭いにつられて目をやって、また後悔。



「何あれ……」

「人間の肉に目がない、下等な種族だ。悪い」



そして、お腹に衝撃を受けてわからなくなった。
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