The Tricks Played by Destiny
「着替えだ」

「ジーク……」



枝を手で掻き分けて出てきたのはジークだった。

肩まで浸かり肌を隠すとジークは足を止めた。
男物の服とマントを泉を取り囲む木々のなかで、一番離れた枝に掛けて背を向けた。



「ここで、一夜を明かす。俺たちが面倒を見るのはそれまでだ」



あとは好きにしろ。


背を向けているからわからない。けれど、いくつもの棘を含んだ言葉だということはあたしにでもわかる。

好きにしろ、と言われても。
ここがどこかさえもわからないあたしにとって、森の中に置いていかれるのはすごく困る。

というか。



「どうしよう」



途方に暮れるとはまさにこのことを言うのかもしれない。
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