The Tricks Played by Destiny
頬を掠った。
焼け付くような痛みを感じる。
かびついた、あの部屋の匂いが。

夢か現かわからないくらいの――――。



「おいっ!おいっ、リズ!」



耳に残っている鞭の音。
同時に感じる痛みは、リアルではないにも関わらず、ズキズキと感じる。

堪えるために、腕に爪を立てて唇を噛み締める。

痛みに耐えていたあたしを現実に戻してくれたのは、慌てたような声。
レオだ、と思う。

けれど、あの独特の空気を震わす声ではなく、ちゃんとした――。



脂汗が滲んで、息が苦しい。
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