The Tricks Played by Destiny
再び目を開けたとき、空は真っ暗になっていた。
重たい身体を起こすとひらりと何かがずれていく。

あっ、と小さく声を上げるとそれに反応して空気が揺れた。



「リズ」



名を呼ばれ、レオ、と声にならない掠れた音で返事をする。
灰色の狼はそこに、座っている。



「どうし、て」

「ぼけぇ、心配させるな」

「ご、……ごめんなさい」

「もう、夜も更けた。寝ろ、」



ゆっくりと身体を横たえ、丸まり、寝る体勢へと移りゆくレオ。
その動作をしっかりと見続けたあと、もう一つの気配が完全に読み取れないことに気付いた。


ジークがいない。
もともとジークは、気配に聡いあたしでさえも掴みにくいものだったけれど。
外に居て、ここまで完全に消えてしまっているのは初めてだ。


――――もちろん、ジークとは数時間の仲でしかないのだけれど。
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