The Tricks Played by Destiny
首を巡らし辺りを見渡しても、真っ暗闇しか瞳に映さない。
深く、濃い闇が包んでいる。



「ジークは、行った」



どこに、と問うとレオは知らなくていい、と微かに聞き取れるくらいの声で言った。
どうして、と再度問うたのにレオは首を横に振っただけでそれ以上何も言ってはくれない。ただ、寝ろ、と。明日が辛い、と。
ただそれだけ。


確かに、ジークたちと別れなければならない。
ジークがそう言ったから。好きにすればいい、と投げやりではあったけれど明朝まで一緒に居るということを言外に匂わせていた。

なのに、どうして。
突然出て行ってしまったのだろう。



「あいつにもいろいろあるんだ。お前と同じように」



だから、気にせず早く寝ろ、ぼけぇ。
身体を丸めたまま、レオは言い放って目を閉じた。


あたしに、言葉を告がせぬまま。
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