The Tricks Played by Destiny
「したかったことなら、ある。もう、叶わない夢になってしまったけど」



当たり前だと思っていたのは、あの城に連れられる前。
連れられて、いたぶられてからは叶わないと知りつつも思い描いていた。

こちらに来たことで、さらに叶わないものと成り果ててしまったけれど。



「何をしたいんだ?」

「跡を継ぐこと。建国から連綿と続いてきた公爵家の一人娘として、直系として、血を繋ぐこと」



義務と言われればそうかもしれない。
けれど、あたしにはそれしかなかった。


リスティア国、弓の守護者ヴァンバード家の直系として、血を繋ぐことはあたしの夢でもあった。
母さんと父さんが居た、あのころのように、あたしもそうありたかった。


一族に反対されても、意志を曲げなかった先代――母さん――のようにあたしも、誰かと添い遂げてみたかった。
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