The Tricks Played by Destiny
それも叶わない。



「父さん、…………父さんを探してみようかしら」



あるとき忽然と姿を消した父さん。母さんに聞いても首を振るばかりでなにも答えはくれなかった。
ただ、一言。

『あの人が居るべき場所へ帰ったの』

まだ、幼いあたしにその言葉を理解するのも、いるべき場所というのもわからなかったけれど。

今ならわかる。


ハーフであるあたしが一番わかっている。



「探す、といってもこっちは広いぞ。そんなに簡単にいくか」

「いいの、あたしはこっちに逃げてきただけだから。父さんを探しがてらあたしの居場所を探したいだけだから」



父さんを探し出すことが出来るのであれば、そこがあたしの居場所となる。
もう、母さんもいないのだから。



だから、あたしにこっちで生きる術を教えて。
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