オタクが転生した結果

ヒロインVS悪役令嬢

転生者は神のもとに皆平等だった。ヒロイン狙いの転生者達は、皆ヒロインになりえる状況下で、平等に転生していたのだ。

全員同い年、同じ位の身分、同じ位の経済状況、同じ位美人。それぞれに接点はなく、全員が自分こそヒロインであると信じて疑わなかった。

王子との出会いの場に自分と同じようなヒロイン風の令嬢が何人も現れた事で、彼女達はようやくその事実に気付かされる。

「え?ちょっと待って?私がヒロインなんじゃなかったの?」

「いや、私だから!ヒロインは私だから!」

「どう考えてもあんたじゃないわよ!絶対私の方が美人でしょ!?」

エ「はいはーい、お静かにー。ここじゃ目立つから、ちょっとあっちに移動しましょーねー」

エメリーヌがヒロイン達を会場の外に誘導する。人目のない場所で、人道的に許されないような事をしようとしてる訳ではないので、安心して欲しい。

マ「あなた達、転生者で間違いないわよね?」

「何よあんた!悪役令嬢!?」

マ「まあまあ、ちょっと落ち着いて周りを見てご覧なさいよ。何か気付かない?」

「え?何?どういう事?」

マ「あなた達、ヒロイン風ではあるけど、それにしては普通よりほんのり美人な位だなって思わない?」

「っな!そんな訳ないでしょ!?」

エ「じゃーあなた達。この子と彼女、どっちが美人だと思う?」

エメリーヌが、ヒロインの1人とマルゲリットを比べさせる。正直な話、マルゲリットと比べてしまうと、彼女達は人並みなのだ。

マ「多分、ヒロイン1人分の特別な美しさを、皆で分けちゃったんじゃない?でないとこの普通さは説明が付かないよ?」

結構酷い事を言っているようだが、美しいマルゲリットだからこそ許される発言であるという事にして欲しい。

マ「ヒロインは特別に美しくて、神によって幸運を約束されている、特別な人なんだよ。でないと、身分を越えて王子に愛されるなんて、あり得ないじゃない?」

ヒロイン達が動揺している。もう一押しすれば方が付きそうだ。

マ「この調子だと、幸運も分け合っちゃってると思うんだ。見ればわかるけど、王子の婚約者、メチャクチャ可愛いよ?あなた達じゃ絶対敵わないと思う」

エ「私達、本当はその子の手下ポジだから。でもどう頑張っても彼女を悪役にする事はできなかった。多分彼女は根っからのヒロインなんだよ」

マ「彼女は私達の推しだから、全力で応援してるの。邪魔するなら、どんな手を使ってでもあなた達を潰すけど。どうする?」

エ「因みに、あなた達今日スタートだから知らないだろうけど、この世界、想像以上にガバガバだから。私達もう6年悪役やってて、許されるギリギリ狙えちゃうの。邪魔する気があるなら、それ相応の覚悟しといてね?」
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