新そよ風に乗って ⑤ 〜慈愛〜
「はい。そうですよね。それ、凄く分かります」
「だよねー。だから、たまにはストレートに今思っていることを相手にぶつけてみるのもいいかもよ? それで、逃げるような男だったら大したことない奴だから。ね?」
「は、はあ……。そうですね」
苦笑いをしながら返事をしたが、とても高橋さんに思いをぶつけるなんて出来ない。一緒に近くに居るだけで緊張してしまうから、いつも平静を装うのが精一杯なんだもの。
「あっ。部長の話、終わったみたいね。うわっ。高橋が立った途端、すかさず野獣に呼ばれてる。間髪入れずに声を掛けるなんて、呆れたもんだわ」
見ると、高橋さんは黒沢さん達が座っているテーブルの横に立っていた。
「ハハッ……。高橋。座ろうとしない」
「えっ? 何故ですか?」
高橋さんは、黒沢さんの取り巻きが席を用意して座るように促しているが、やんわりと断る仕草を見せながら一向に座ろうとしない。
「何かと長くなるからでしょう? 確実に、座ったらお局達の餌食になるわよ」
「え、餌食」
「あら。違う?」
「そ、それは……」
「アッハッハ……正直だ。矢島ちゃん」
凄いな。折原さんは、何でも読めてる感じ。きっと、恋愛も充実しているんだろうなぁ。
「折原さんは今、恋愛していらっしゃいますか? その……彼氏は……」
「私? 彼氏は、居ないわよ」
「えっ? そ、そうなんですか?」
信じられない。こんなに魅力的な折原さんなのに。
「学生の時は、居たんだけどね。でも社会人になってから、お互いに仕事が忙しくなって擦れ違いが多くて会わなくなって。そのお決まりのパターンよ。擦れ違いっていうのは、自分でそう思い込んでるだけかもしれない。さっきも言ったけど、本当に会いたかったらどんなことをしてでも会いたいし、会おうとするでしょ?」
折原さん……。
「すみません。変なこと、聞いてしまって」
「いいのよ。夏目先輩に、そのうち紹介して貰おうと企んでるの。建築関係とか技術屋って無骨な厳ついイメージなんだけど、ああいう感じ好きなのよね。何て言うか、良い意味で汗臭い人達って人間味があって魅力を感じるの。綺麗事だけじゃ、仕事は出来ないってことを立証してくれてるみたいでさ」
折原さんは、目を輝かせながら話してくれた。
「だよねー。だから、たまにはストレートに今思っていることを相手にぶつけてみるのもいいかもよ? それで、逃げるような男だったら大したことない奴だから。ね?」
「は、はあ……。そうですね」
苦笑いをしながら返事をしたが、とても高橋さんに思いをぶつけるなんて出来ない。一緒に近くに居るだけで緊張してしまうから、いつも平静を装うのが精一杯なんだもの。
「あっ。部長の話、終わったみたいね。うわっ。高橋が立った途端、すかさず野獣に呼ばれてる。間髪入れずに声を掛けるなんて、呆れたもんだわ」
見ると、高橋さんは黒沢さん達が座っているテーブルの横に立っていた。
「ハハッ……。高橋。座ろうとしない」
「えっ? 何故ですか?」
高橋さんは、黒沢さんの取り巻きが席を用意して座るように促しているが、やんわりと断る仕草を見せながら一向に座ろうとしない。
「何かと長くなるからでしょう? 確実に、座ったらお局達の餌食になるわよ」
「え、餌食」
「あら。違う?」
「そ、それは……」
「アッハッハ……正直だ。矢島ちゃん」
凄いな。折原さんは、何でも読めてる感じ。きっと、恋愛も充実しているんだろうなぁ。
「折原さんは今、恋愛していらっしゃいますか? その……彼氏は……」
「私? 彼氏は、居ないわよ」
「えっ? そ、そうなんですか?」
信じられない。こんなに魅力的な折原さんなのに。
「学生の時は、居たんだけどね。でも社会人になってから、お互いに仕事が忙しくなって擦れ違いが多くて会わなくなって。そのお決まりのパターンよ。擦れ違いっていうのは、自分でそう思い込んでるだけかもしれない。さっきも言ったけど、本当に会いたかったらどんなことをしてでも会いたいし、会おうとするでしょ?」
折原さん……。
「すみません。変なこと、聞いてしまって」
「いいのよ。夏目先輩に、そのうち紹介して貰おうと企んでるの。建築関係とか技術屋って無骨な厳ついイメージなんだけど、ああいう感じ好きなのよね。何て言うか、良い意味で汗臭い人達って人間味があって魅力を感じるの。綺麗事だけじゃ、仕事は出来ないってことを立証してくれてるみたいでさ」
折原さんは、目を輝かせながら話してくれた。