新そよ風に乗って ⑤ 〜慈愛〜
「はぁ……」
高橋さんが、大きくため息をついた。
「生憎、お前が想像してるようなことは、してないんだが? 前に遊んだと言っても2人だけだったわけではないし、それに今日だって向こうが勝手に来ただけで空振りに終わって、シャツが犠牲になっただけのことだ」
「ほ、本当ですか?」
「ハッ?」
高橋さんが、微笑みながら聞き返した。
「あっ。い、いえ、な、何もそんなことなんて、想像なんかしてません。してませんから!」
「で? 何なんだ? さっき、俺に突っかかってきたのは」
うっ。
まずい。バレちゃう。
「あの、そ、それは……その……声に出して言ってしまったような?」
「俺に投げかけてどうする?」
うっ。
「で、ですから、その……な、何でもないです。勘違い?のようですね。は、はは、はい」
焦るばかりで、上手い言い訳が見つからない。
「ん? 俺の話、聞くだけ聞いといて、聞き逃げかよ?」
高橋さんは、悪戯っぽく笑いながら私の顔を覗き込んだ。
「そ、それは、ですから、その……」
ああ、もう無理。
高橋さん。そんなに、近づいて来ないで。余計、何も考えられなくなるじゃない。
「フッ……。まあ、いいか。そんなことより……」
「あっ。そうだ! 高橋さん。あの……私、シャツ洗濯します。もったいないですよ。早く洗えば、もしかしたら落ちるかもしれないですから」
間が持たなくて、慌ててソファーから立ち上がってキッチンに向かい、ゴミ箱に捨てられたシャツをまた掴んだ。
「お前……」
「ちょっと、バスルームで洗濯してきます。高橋さんは、ゆっくりし……あっ……」
バスルームに行こうとしたが、不意を突かれて高橋さんにシャツを奪い取られた。
「いい加減、離せって」
「でも……」
高橋さんは、再度シャツを丸めてゴミ箱に放り込んだ。
「いいと言っただろう? これは、もう捨てる。こっちで買ったら安いんだし、それより……」
高橋さんが私の顔を覗き込み、上目遣いともとれる視線で近づいた。
な、何?
ち、近過ぎですってば、高橋さん。
咄嗟に、体を後ろに引いた。
「ハハハッ……。お前。何、警戒してるんだ?」
だって、男の人とこんなに接近してたら、誰だって警戒すると思うんだけど。
「これから16日間、よろしくな?」
高橋さんが、大きくため息をついた。
「生憎、お前が想像してるようなことは、してないんだが? 前に遊んだと言っても2人だけだったわけではないし、それに今日だって向こうが勝手に来ただけで空振りに終わって、シャツが犠牲になっただけのことだ」
「ほ、本当ですか?」
「ハッ?」
高橋さんが、微笑みながら聞き返した。
「あっ。い、いえ、な、何もそんなことなんて、想像なんかしてません。してませんから!」
「で? 何なんだ? さっき、俺に突っかかってきたのは」
うっ。
まずい。バレちゃう。
「あの、そ、それは……その……声に出して言ってしまったような?」
「俺に投げかけてどうする?」
うっ。
「で、ですから、その……な、何でもないです。勘違い?のようですね。は、はは、はい」
焦るばかりで、上手い言い訳が見つからない。
「ん? 俺の話、聞くだけ聞いといて、聞き逃げかよ?」
高橋さんは、悪戯っぽく笑いながら私の顔を覗き込んだ。
「そ、それは、ですから、その……」
ああ、もう無理。
高橋さん。そんなに、近づいて来ないで。余計、何も考えられなくなるじゃない。
「フッ……。まあ、いいか。そんなことより……」
「あっ。そうだ! 高橋さん。あの……私、シャツ洗濯します。もったいないですよ。早く洗えば、もしかしたら落ちるかもしれないですから」
間が持たなくて、慌ててソファーから立ち上がってキッチンに向かい、ゴミ箱に捨てられたシャツをまた掴んだ。
「お前……」
「ちょっと、バスルームで洗濯してきます。高橋さんは、ゆっくりし……あっ……」
バスルームに行こうとしたが、不意を突かれて高橋さんにシャツを奪い取られた。
「いい加減、離せって」
「でも……」
高橋さんは、再度シャツを丸めてゴミ箱に放り込んだ。
「いいと言っただろう? これは、もう捨てる。こっちで買ったら安いんだし、それより……」
高橋さんが私の顔を覗き込み、上目遣いともとれる視線で近づいた。
な、何?
ち、近過ぎですってば、高橋さん。
咄嗟に、体を後ろに引いた。
「ハハハッ……。お前。何、警戒してるんだ?」
だって、男の人とこんなに接近してたら、誰だって警戒すると思うんだけど。
「これから16日間、よろしくな?」