またキミに会うために~1400年の時を超えて~

淡い気持ち

 次の朝。皇子は皆を集めると、しっかりとした口調で言った。

「この湯に入ったら、病が治ったぞ」

「な、何という!」

「み、皇子様!」

 そこにいるみんなが、心底驚いた顔をしている。中には「良かった」と、涙を流している者もいる。その様子から、あれが芝居だということに気がついた者は誰もいないと知る。

 皇子の側でずっと遣えていた家臣達や侍女達をも欺く程の演技を、遠くにいる中大兄皇子だけが見破ったとは思えない。

 “__患っていようといまいと邪魔な存在”

「この湯は天からの思し召しだ。恐らく斉明大王の御心も癒やしてくださることであろう。皆者、このまま飛鳥板葺宮に参るぞ」と、平伏す家臣達に皇子は力強くそう言った。
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