私のボディーガード君
黒い瞳がこっちを向く。
普段とは違う、熱を感じる瞳にドキッとする。

「そうですね。今日の所はそのような意味で」
「何、その引っかかる言い方は?」

目が合うと三田村君がクスッと笑う。

「気になりますか?」

じっと見つめられて、またトクンって心臓が脈打つ。

「別に」

本当は気になって仕方ないけど、これ以上、追及するのが怖い。

「妃奈子さんは嘘がつけない人ですね」

クスクス笑いながら、三田村君の大きな手が伸びて、包み込むように私の頬に触れた。

「そんな妃奈子さんが可愛い」

か、かわいい?

「特に酔った妃奈子さんは可愛らしい。気をつけて下さいよ。見ず知らずの男性に捕獲されますから」

「捕獲なんてされないから」
「私に捕獲されたじゃないですか」
「それは……」
「あの夜、死ぬ程驚いたんですから。まさか大学の先生とあんな形で再会するとは思いませんでした」

え?

「私はいつも前の席で妃奈子さんの講義を聞いていたんですよ」

あっ……。

言われてみれば、整った顔立ちをした男の子が熱心に講義を聞いていると思った事があった。

あれは今の女子大に入る前。
非常勤講師をしていた時だ。

「三田村君、あの大学の学生だったんだ……」
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