私のボディーガード君
「私の事、見栄っ張りだって言うんでしょ?」
「うん。正直に男性は苦手だって言っちゃえば楽なのに」
「別に苦手じゃないわ。私に触れなければ、同じ空間にいても大丈夫だし、話しもできるし」
「じゃあ、今から電車乗りに行く?」
 背筋がぞわっとする。
 学生の時、おじさんがいっぱいの駅や、満員電車で何度も意識を失って、救急車で運ばれた。

「駅は嫌! 電車だけは無理!」
「なんで?」
「だって2メートルのパーソナルスペースが侵されるし、不特定多数の男の人と触れる危険性が」
「それって、男性が苦手って事だよね?」
「苦手じゃないわ。2メートルのパーソナルスペースを守ってくれれば平気よ」

 執務机の向かい側に座る友美が呆れたように鼻で笑う。

「弱さなんてさらけ出して、もっと楽に生きればいいのに。ひなのは障害でしょ? 周囲の人に知ってもらえば、ひなももう少し楽に生きられるんじゃない? もしかして二人のお姉さんに負けたくないとかってまだ思ってる?」

 ズキッと胸が痛くなる。
 友美は私の急所を突く質問が本当に上手だ。
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