私のボディーガード君
「姉たちに負けたくないなんて思ってないわよ。むしろ誇りに思うぐらいよ。恵理ちゃんも、リカちゃんも美人で優秀だから」

 恵理ちゃんとリカちゃんは私と違って恋愛経験も豊富で、恵理ちゃんなんてフランス人と結婚してパリに住んでるし、リカちゃんだって一度は結婚している……。

 好きな人の胸に飛び込める二人が羨ましい。
 あの事がなければ私だって男性アレルギーにはならなかったのに。

「ひなって、本当、意地っ張りね。悔しいと思っているくせに」
「友美、ケンカ売ってるの?」
「年々、ひなが頑固老人みたいになっていくから心配しているの」

 頑固老人って……。人を老害みたいに言って。

「私は幸せよ。本だって売れているし、研究者として論文も高く評価されているし。だから姉たちの事なんか全然気にしていないんだから」
「また強がり言っちゃって」
「強がりじゃないわ」
「まあ、いいか。それで、昨夜のお誕生日デートはどうだったの?」

 思わず苦笑いが浮かんだ。

 昨夜のバーでの失態は思い出すだけで情けなくなる。
 それに、今朝はとんでもない事があったし。
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