私のボディーガード君
 友美に彼と惨めな別れ方をした事と、今朝、知らない男が私の部屋にいた事を話すと、目を丸くした。

「男の人におんぶされて、ひな、吐かなかったの?」
「男が言うには吐かなかったらしい。全く覚えていないから本当かどうか知らないけど」
「今朝はどうだったの?」
「どうって?」
「だから、その男の人に触れて平気だった?」
「触れてないよ。怖くて触れなかった」
「もったいない。触って本当かどうか確かめるべきだったよ。だって、本当だったら男性アレルギーを治す糸口になるかもしれないんだよ」

 私の源氏の君を侮辱した男に腹が立って、そんな事考えなかった。

「連絡先は交換した?」
「……してない」
「なんでしてないの!」

 バンッと友美がデスクを叩いて、勢いよく立ち上がる。

「ひなの事を二十年知っているけど、ひなが男の人に触れて平気だったって話、初めて聞いたよ」
「初めてだったかしら」
「初めてよ。その男の人に協力してもらって、男性に触れる事に慣れていけば男性アレルギーが治る切っ掛けになるんじゃないの?」

 確かに。男性に慣れる切っ掛けになるかも。
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