私のボディーガード君
「三田村君が三友グループの御曹司だって事を黙っていたのだって、別に隠していた訳じゃないと思うよ。普通、自分の家の事って話さないでしょ? それに御曹司がボディーガードなんて聞いたら、御曹司に怪我をさせちゃいけないって気を遣うじゃない。もしかしたらSP時代にそんな経験をしていたから、言わなかったんじゃないの?」

友美の言葉で心の中のもやもやが晴れていく。

「妃奈子だって、お母さんが大臣をやっている事を自分から話さないよね」
「うん」
「それはどうして?」
「どうしてって……、あまり気を遣われたくないし、大臣の娘って目で見られたくないから」
「三田村君もそうなんじゃないの? 御曹司って目で見られたくないんじゃないの?」

自分に置き換えて考えてみれば、三田村君が三田村幸蔵の息子だって事を言いたくない気持ちは痛い程わかる。

友美の言う通りだ。
母を犯人だと決めつけて、三田村君の事も悪く見ていた。

「でも、倉田浩介の事を秘密にするのは何で?」
「それは……」
友美が口ごもる。

「私に聞かせたくない事情があるからだよね? 例えば誘拐事件が母の自作自演だったという事につながるような……」
「自作自演じゃないと思うけどな。他に言えない事情があるんじゃない? 倉田浩介の事を知ったら妃奈子が傷つくとか」
「なんで私が傷つくのよ」
「深い事情があるんだよ」
「その深い事情って、警察沙汰になる事かな。何か悪い事を母はしているのかもしれない。違法なお金をもらったとか」
「妃奈子、おばさんはそんな人じゃないよ」

友美はそう言ってくれたけど、話せない理由は私に悪事を知られたくないからではないだろうか?

その夜もあまり眠れなかった。
< 131 / 210 >

この作品をシェア

pagetop