私のボディーガード君
次の日は若林さんが警護に来てくれた。三田村君は今週はお休みだと言われて、ほっとした。

今日も一日、大学で源氏物語の現代語訳の原稿書きと、新学期の講義の準備をしていた。そして、夕方、研究室のドアがノックされた。

若林さんが応対をしてくれる。

「佐伯先生、神宮寺綾子さんがお見えですが、お約束は?」

思わずキーボードを打つ手が止まる。

――神宮寺綾子。

三田村君の元許嫁の子。
何しに来たんだろう?

「約束はないけど、お通しして」

若林さんが白いパーテーションで区切られた、白いテーブルと水色の椅子が置かれた応接コーナーに綾子さんを案内した。

パソコンの前から立ち上がり、パーティションの中に入ると、二日前にホテルのロビーで見かけた神宮寺綾子さんが椅子から立ち上がり、私にお辞儀をした。

「お忙しい所、突然すみません」
顔を上げた表情はとても強張っているようだった。

「おかけ下さい」
椅子をすすめ、彼女のはす向かいに腰を下ろした。
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