私のボディーガード君
「ひな、男性アレルギーのせいで苦労してきたじゃない。公共の交通機関は使えないし、平安時代の貴重な文献が残る京都の大学で研究する機会があったけど、男性が多い大学だから諦めたんでしょ?」

 京都の大学に行けなかったのは残念だったけど、今の女子大で准教授になれたし、現状に不満はない。
 それに、私には車があるし、時間はかかるけど、京都にだって行ける。

「京都に未練があったのは昔の事よ。今の女子大は働く環境がいいし、友美のカフェも近くにあって便利よ」

 ニコッと微笑むと友美に睨まれる。

「じゃあ、恋愛は? 結婚は? 一生独身でいるつもりなの?」
「それは……」

 正直、恋愛はしたい。だから彼とも付き合った訳だけれど、昨日で諦めなきゃいけないと思った。

「もういいの。一生独身でいるから」
 キュッと唇を噛みしめると友美が心配そうに眉頭を寄せた。

「それ本心じゃないでしょ?」

 友美の言葉が突き刺さる。いつも友美は私の本心を見抜くから困る。
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