私のボディーガード君
海と聞いて、横浜にでも行くのかと思ったら、若林さんが向かったのは千葉方面。川崎から東京湾アクアラインに入った。車で東京湾の上を走るのは爽快だった。長い橋の周りはどこを見ても、海、海……。下がっていた気分が上がる。
豪華客船の形をしたパーキングエリアの海ほたるにも寄って、360度見渡せる展望台からキラキラと光る濃紺の海を眺めた。今日は春を感じる暖かな潮風が吹いていて心地いい。海の匂いに、ザーザーと響く波の音。展望台にいると大海原を航海しているよう。
「いい天気ですね」
隣に立つ若林さんが穏やかな表情を浮かべる。
何となくだけど、綾子さんの件があってから若林さんが優しい。
心配してくれているのかな?
「三田村とケンカしました?」
鋭い質問に表情が固まる。やっぱり若林さんだ。
「佐伯先生は正直な方ですね」
クスッと若林さんが笑う。
「三田村の事が好きなんでしょ?」
穏やかな声はこの間と違って責めている感じではなかった。むしろ、私を心配するような聞き方だった。
はあっ、と、短い息が漏れる。
三田村君の事を想うと、恋しい気持ちが溢れて泣きそうになる。今、この場に彼がいない事が寂しい。
三田村君と出会う前は一人でいる事は平気だったのに、もう平気じゃない。二度と三田村君に会ってはいけないと言われたら、本当に死んでしまうかも。それぐらい三田村君を必要としている。
かなりの重症だと自分でも思う。
34年の人生でこんなに誰かを想った事はなかった。
私は三田村君の事が……
「好きよ。今、海に向かって好きだって叫びたいぐらい。私の中は三田村君でいっぱい。いつの間にこんなに好きなったんだろうな」
笑って、若林さんを見ると、目を丸くしていた。
豪華客船の形をしたパーキングエリアの海ほたるにも寄って、360度見渡せる展望台からキラキラと光る濃紺の海を眺めた。今日は春を感じる暖かな潮風が吹いていて心地いい。海の匂いに、ザーザーと響く波の音。展望台にいると大海原を航海しているよう。
「いい天気ですね」
隣に立つ若林さんが穏やかな表情を浮かべる。
何となくだけど、綾子さんの件があってから若林さんが優しい。
心配してくれているのかな?
「三田村とケンカしました?」
鋭い質問に表情が固まる。やっぱり若林さんだ。
「佐伯先生は正直な方ですね」
クスッと若林さんが笑う。
「三田村の事が好きなんでしょ?」
穏やかな声はこの間と違って責めている感じではなかった。むしろ、私を心配するような聞き方だった。
はあっ、と、短い息が漏れる。
三田村君の事を想うと、恋しい気持ちが溢れて泣きそうになる。今、この場に彼がいない事が寂しい。
三田村君と出会う前は一人でいる事は平気だったのに、もう平気じゃない。二度と三田村君に会ってはいけないと言われたら、本当に死んでしまうかも。それぐらい三田村君を必要としている。
かなりの重症だと自分でも思う。
34年の人生でこんなに誰かを想った事はなかった。
私は三田村君の事が……
「好きよ。今、海に向かって好きだって叫びたいぐらい。私の中は三田村君でいっぱい。いつの間にこんなに好きなったんだろうな」
笑って、若林さんを見ると、目を丸くしていた。