私のボディーガード君
「ひな、男の人の顔は覚えているでしょ?」

 今朝の事なのでまだ記憶はハッキリしている。
 確か……

「黒髪で、額が出ていた髪型で、目尻がやや上がり気味の二重のキリッとした目だったかな。鼻筋も通ってスッキリしてたな。全体的に凛々しい感じの、整った顔立ちの男だった」

 友美の目がキラリと光る。

「つまり凛々しい顔立ちをしたイケメンね?」
 確認するように友美に見つめられ、コクリと頷いた。

「イケメンの部類に入ると思う」
「それだけ覚えていれば捜せるよ。昨夜のカラオケ屋に行こう。きっとそこで出会ったんでしょ?」
「どうかな。どこで会ったか覚えていない」
「絶対バーの後に行ったカラオケ屋だって。一緒について行ってあげるから。えーと、今夜は7時だったら出れるよ。ひなも終わりはそれぐらいでしょ?」
「えっ、今夜行くの?」
「男の人がひなの事を覚えているうちの方がいいでしょ」
 友美がバチッと左目をウィンクする。

 確かに、男が私の事を覚えているうちの方がいいけど、そんなに都合よく見つかるかな。

「じゃあ、ひな、七時ね」
 そう言って友美が研究室を出て行った。
 なんだか張り切っている気がするのは気のせいだろうか。
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