私のボディーガード君

対決

三田村君に心配をかけるのはわかっていたけど、一人で決着をつけようと思った。もう三田村君に守られているのは苦しい。傷つくなら私だけで十分だ。それにあの人はそんな事をする人じゃない。きっと話せばわかってくれる。

そう思って、こちらから連絡を取った。
あの人も同じ市内にいるようだった。仕事で神宮寺製薬の研究所まで来たと言っていたけど、嘘かもしれない。私たちをつけて来た気がする。

思えばあの人は不自然な程、いつも私の近くにいた。
ただの偶然だと思っていたけど、倉田浩介の顔を思い出して偶然ではなかったと気づいた。

私の推理が正しければ、あの人と倉田浩介は……。

はあっ、とため息が漏れる。

ホテルの前から乗ったタクシーは中禅寺湖の周りを走り、山の方に向かった。

スマホは三田村君に居所を知られない為に置いて来た。バッグに入っているのは護身用にと三田村君に渡された防犯ブザーと、催涙スプレー。いざという時はこれで身を守るしかない。

使わないで済むといいけど……。

窓の外に広がる夕闇がだんだん心細くさせる。三田村君なしで行動するのはやはり怖い。でも、一人で立ち向かうって決めたんだ。もう後戻りはできない。

自分を奮い立たせるようにぐっと拳に力を入れた。

タクシーが右折し、さらに細い道へと進んでいく。
坂道を上っていくと、木に囲まれた二階建てのログハウスが見えた。

その建物を見て胸が痛い程脈打つ。

見覚えのある建物。
多分、12歳の時に倉田浩介に連れて来られたんだ。

タクシーから降りて、緊張しながらインターホンを押すとあの人が出た。

「妃奈子さん、早かったね」

玄関ドアから出て来たあの人が言った。
眼鏡をかけた顔がくしゃっと笑う。

人懐こそうな笑顔を見て、記憶の中の倉田浩介と重なった。

ああ、やっぱり似ている。

彼はきっと……。

「浅羽さん、急にごめんなさいね」

強張りそうな頬に力を入れて、彼に笑顔を向けた。
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