私のボディーガード君
「三田村君は私の行動がわかっていただろうけど、私は三田村君が何をしているかわからなかったのよ! なんで帰ってこないのよ! ずっと待っていたのに。せめて連絡ぐらいくれたって……」

三田村君を待ち続けた寂しさを思い出して涙ぐんだ。

「すみません。自分の身の振り方がハッキリしない内は妃奈子さんに会う訳にはいかないと思って」
「身の振り方? そういえば秘書を辞めて何をしているの?」
「妃奈子さん、怒りません?」

黒い瞳が伺うようにこっちを見る。

「何? 私に言えない事をしているの?」

目が合うと、ぶちゅっといきなり唇が重なった。

「ちょっと、三田村君っ!」

大きな手が私の後頭部を抱いて、強引にまた唇を合わせる。私に夢中だって言っているような激しいキスが、だんだん理性を奪わせる。三田村君とキスをしているなんて夢を見ているみたい。

「三田村君、大好き」

感極まって、キスの合間に口にした。

「俺もです。俺も妃奈子さんが大好きです。もう離しませんから」

そう言って三田村君が私を抱き上げた。
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