私のボディーガード君
「案内済みってどういう事ですか? だって私、今来たんですよ」

 こんな理不尽、納得できない。
 かなりの勇気を振り絞ってレストランまで来たのに。

「ですが、ご案内済みになっておりますので」
「それって、私の名前を勝手に借りた人がいるって事ですよね。その席に案内して下さい」
「えっ」

 ウェイトレスが驚いたように瞳を丸くする。
 あ、私が偽物だと思った?

「連絡先は私の携帯電話になっていますよね」
 バンッとスマホを見せて、番号を確認してもらった。

「そのようですね」
「私が午後7時から二時間のクリスマスディナーを予約した本物の佐伯です」

 免許証も出して、『佐伯妃奈子』である事を見せた。

「佐伯様、大変失礼いたしました。ご案内いたします」

 わかってくれたようで良かった。全く、私の名前を騙るなんてどこのどいつよ。

「こちらでございます」

 ウェイトレスの案内で個室に入ると、知っている顔があった。
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