私のボディーガード君

大丈夫な距離

「妃奈子さん、あなたが好きです」

 三田村君がムキになったようにまだ言っている。

 本当に面白い人。
 可笑しくてクスクス笑ってしまう。

「冗談ではなく、本当に好きなんです」
「はいはい。わかったわよ」
「どうしたら、俺の気持ち届くんですか? 俺は昔からあなたの事が……」

 三田村君の顔から笑みが消える。

 真剣な黒い瞳が真っすぐにこっちを見た。視線が重なって、それから距離が縮んで、三田村君の唇が私の唇に重なる。

 男性アレルギーのはずなのに、全然触れても大丈夫。むしろ、柔らかな唇が気持ちいい。どうして? もしかして私のアレルギー治ったの?

「妃奈子さん、好きです」

 唇が離れると、すぐ近くでまた三田村君が言った。
 キリっとした二重の瞳が熱っぽく私を見ている。

 なんて色気のある表情をするんだろう。
 それにドキッとする程、綺麗な顔。

 光源氏……。
 そうよ。彼は光源氏のよう。

 魅力的で綺麗で、女だったら誰でも抱かれたいって思う。

「私の光源氏」

 ギュッと抱きしめると逞しい腕が抱きしめ返してくれる。

 ピンポーン!

 うん? インターホン?

 ピンポーン! ピンポーン! ピンポーン!

 もうっ、うるさいわね。今、出るわよ!
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