私のボディーガード君
ギュッて黒いセーターの胸に抱き着くと、心臓の音が聞こえた。安心する音。それに上品なムスクの香りがする。三田村君がいつも付けているやつだ。なんか、いいな、この香り。
「妃奈子さん、大丈夫なんですか?」
「全然大丈夫じゃない」
「離れて下さい」
「いや。離れたくない。大丈夫じゃないって言ったのは気持ちの方。部屋の事で腹が立ったけど、もう怒ってないから。風邪を引いたのも三田村君のせいじゃないから。だから、三田村君、全部自分が悪かったなんて思わないで。今日は三田村君のおかげで素敵な一日だったよ」
「妃奈子さん……」
「三田村君、私こそごめんね」
「いえ、妃奈子さんは全然悪くないですから」
「三田村君はいつも優しいね」
優しいから甘えてしまう。
私の方が七歳も年上なのに。
「優しいのは妃奈子さんの方ですよ。さあ、ベッドに行きましょう」
三田村君に支えられてベッドまで戻った。
「お粥、食べ終わるまでいてくれる? 一人で食べるの、寂しくて」
「はい」
三田村君がベッドの近くに座って、お粥の乗ったトレーをベッドの上に置いてくれた。お粥は土鍋に入っていて、取り皿は二つあった。
「三田村君、半分食べてね」
「えっ」
「一人で土鍋いっぱいは多いから。残したらホテルの人に悪いし、ね」
返事をするように三田村君のお腹がぐぅーと鳴った。
「あ、すみません」
気まずそうに視線を逸らした三田村君が何だか可愛い。
「やっぱり夕飯食べてなかったんだ。食べよう」
「はい。頂きます」
三田村君が土鍋から取り皿にお粥を取り分けてくれる。
卵でとじた熱々のお粥を口にすると胸の中までポカポカしてくる。
熱があって少し怠いけど、やっぱり三田村君と一緒にいると楽しい。心が自然とウキウキしてくる。三田村君って不思議な人だな。あったかくて、ほっとして、ずっと一緒にいたくなる。こんなに居心地のいい人は初めて。
「妃奈子さん、大丈夫なんですか?」
「全然大丈夫じゃない」
「離れて下さい」
「いや。離れたくない。大丈夫じゃないって言ったのは気持ちの方。部屋の事で腹が立ったけど、もう怒ってないから。風邪を引いたのも三田村君のせいじゃないから。だから、三田村君、全部自分が悪かったなんて思わないで。今日は三田村君のおかげで素敵な一日だったよ」
「妃奈子さん……」
「三田村君、私こそごめんね」
「いえ、妃奈子さんは全然悪くないですから」
「三田村君はいつも優しいね」
優しいから甘えてしまう。
私の方が七歳も年上なのに。
「優しいのは妃奈子さんの方ですよ。さあ、ベッドに行きましょう」
三田村君に支えられてベッドまで戻った。
「お粥、食べ終わるまでいてくれる? 一人で食べるの、寂しくて」
「はい」
三田村君がベッドの近くに座って、お粥の乗ったトレーをベッドの上に置いてくれた。お粥は土鍋に入っていて、取り皿は二つあった。
「三田村君、半分食べてね」
「えっ」
「一人で土鍋いっぱいは多いから。残したらホテルの人に悪いし、ね」
返事をするように三田村君のお腹がぐぅーと鳴った。
「あ、すみません」
気まずそうに視線を逸らした三田村君が何だか可愛い。
「やっぱり夕飯食べてなかったんだ。食べよう」
「はい。頂きます」
三田村君が土鍋から取り皿にお粥を取り分けてくれる。
卵でとじた熱々のお粥を口にすると胸の中までポカポカしてくる。
熱があって少し怠いけど、やっぱり三田村君と一緒にいると楽しい。心が自然とウキウキしてくる。三田村君って不思議な人だな。あったかくて、ほっとして、ずっと一緒にいたくなる。こんなに居心地のいい人は初めて。