私のボディーガード君
二日寝込んで、風邪は治った。
明日はもう東京に戻る日。

千葉に来てからあっという間だったな。寝込んでいたから、全然論文も進まなかった。雑誌のコラムもそろそろ手をつけないと。あ、次の本の執筆もある。講義の準備も……。

冬休みぐらいはゆっくりしたいと思うけど、意外とやるべき事ってあるのよね。帰ったら新居に引っ越しにもなるし。冬休み後半はバタバタするかも。

そんな事を考えながらノートパソコンに向かっていると、コンコンとドアがノックされた。

三田村君かな?

ドア開けるとホテルの人だった。

「佐伯様にお手紙が届いています」
「手紙?」

差し出された茶封筒には私の名前が書いてあった。
差出人は佐伯洋子とある。

お母さんから?

手紙を受け取って、中を取り出すと白い便箋が出て来た。

【22年前の恨みを忘れない】

印刷された文字でそう書いてあった。

何これ? 
本当にお母さんが送って来たの?

違う。お母さんじゃない。
きっと私を殺すと脅迫している人だ。

手紙を送って来たという事は私の居場所をわかっているって事だ。
そう思ったら、便箋を持つ指先が震え出す。冷汗が出る。息が苦しい。
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