隠したがりの傷心にゃんこは冷徹上司に拾われて
 ビアガーデン会場に着くと、男性陣はもうすでにそろっていた。
 靖佳さんがスマホで場所を調べると、ついた先では男性陣がバーベキューのグリルで肉を焼き始めていた。

 どうやら、テント一つが一グループになっていて、その中でテーブルとお酒とバーベキューが楽しめるらしい。
 こういうところに来るのが初めての私は、どうしたらいいものかとどぎまぎしてしまう。
 けれど、お酒を飲むだけでなく席を立ったりしていろいろと動き回れるのは、男性とずっと顔を突き合わせているよりは緊張しなくて良いかもしれない。

「もうすぐ着くっていう連絡もらって、お肉焼き始めてました」

 一人がそう言って、彼らがこちらを振り向く。ジャケットなしのスーツ姿で、長袖ワイシャツの袖をまくって隅で肉を焼いている男性三人。
 全員が全員、顔が整っている。夏ど真ん中の熱帯夜なのに、彼らはやけに爽やかに見えた。

 全員ビールを頼み、届いたそれで乾杯をする。
 テーブルには焼きたての肉が並ぶ。男性陣が甲斐甲斐しく取り分けてくれたものだ。

 互いに軽く自己紹介をした。男性陣は皆二十代後半で、靖佳さんや熊鞍さんのほうが釣り合いそうだ。私は頭数合わせなのだと、改めて思い知らされる。

「じゃあ、猫宮ちゃんは新人ちゃんなんだ?」

 しばらく全員で話しながらテーブルを囲んでいたが、とある男性が隣にきて話しかけられた。
 テーブルはあるが、お肉を焼いたりしているうちに移動してもはや立食形式の飲み会のようになっていた。

「はい、まあ」

 無理やりに笑顔を張り付けて応答する。

「大変じゃない? 先鋭部隊の営業の、事務なんて」

「大変は大変ですけど、でもやりがいもありますし。忙しいけど、それが楽しいっていうか、そんな感じです」

 彼はははっと笑って「社畜みある」とこぼした。
 その言い方が下品で、あまり好感を持てない。苦笑いで「そうですかね?」と返してその場をしのいだ。

「そんな言い方したらダメだろ!」

 別の男性が隣にやってくる。どうやら、私をかばってくれているらしい。

「こんな小さな体で一生懸命頑張ってんの。毎日お仕事頑張ってんの。健気じゃん。可愛いじゃん」

 言いながら、肩に腕を組まれた。
 思わずピクリと震えるけれど、彼はそんなこと気にも留めないらしい。

 ――近いから! ……でも、こういうのってこれが普通なの?

 合コンなんて学生の頃にちらっと参加したことがあるけれど、緊張で何を話していいかお互いに分からず適当に飲んで解散したことしかない。
 私は愛想笑いを浮かべながら、ちびちびとビールを飲んでやりすごした。

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