パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
一応、付き合い始めたのはずっと前からで、ここに派遣が決まったのはただの偶然という話になっていた。
それならまだ、……マシなのか?

「篠永さん、彼と結婚するんだぁ?
おめでとう」

給湯室でコーヒーを淹れていたら、森田さんが来た。

「あ、ありがとう、……ございます」

彼女から祝われるなんて、ありえなくて警戒してしまう。

「でも旦那が派遣って、大変じゃなぁい?」

ちょうどマシンがカップにコーヒーを注ぎ終え、彼女に場所を空けた。
そうか、派遣の駒木さんと結婚したら、旦那のほうが収入低いって卑下されているのか。
駒木さんの正体は警視庁のエリートだし、大会社の御曹司だから、私の収入のほうが吹けば飛ぶようなものですが?

「そ、そう、です、ね」

……などというのは一切顔に出さず、愛想笑いで誤魔化しておいた。

「共働きって大変よねぇ。
子供育てるにしてもお金がいるし」

はぁっと物憂げに彼女がため息を吐き出す。

「まあ、頑張ってちょうだい。
この会社だって、いつまでいられるかわからないし。
彼も、あなたも」

私の肩をぽんぽんと叩き、彼女はコーヒーの注がれたカップを持って去っていった。

……え?
もしかして今、同情された?
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