パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました

改まって〝初夜〟なんて言われると恥ずかしくて、俯いてもそもそと残りのごはんを食べた。

そうこうしているうちに、東本くんが駒木さんを迎えに来る。

「じゃあ、私はそろそろ出ますねー」

もう、櫻井さんは捕まった。
これからは通勤で怯える必要はないから、電車通勤に戻そうと思う。

「ダメだよ」

しかしすぐに、駒木さんから止められた。

「いや、でも、もうひとりで大丈夫ですし」

「大丈夫じゃないよ」

駒木さんが東本くんの手を掴む。
なにをするんだろうと見ていたら、その手を私に触れさせようとした。
反射的に一歩下がり、それから逃げる。

「避けられるとか、ショック……」

東本くんは落ち込んでいるけれど。

「ほら。
まだ男の人、怖いでしょ?」

眼鏡の下で眉を寄せ、駒木さんは少し怒っている。

「うっ」

別に、強がっていたわけではない。
自分自身、そういう自覚がなかったのだ。
それに駒木さんは、気づいちゃうんだな。

「今日もタクシーだよ。
というか、これからずーっとタクシー。
仮に花夜乃さんが男の人が大丈夫になっても、痴漢がいるかもしれない、危険な電車になんて乗せられないからね」

真面目な顔をし、駒木さんが人差し指で私の鼻の頭を押す。

「……はい」

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