パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
「俺は親身になって篠永に寄り添うべきだったのに、適当に流して、傷つけた。
あのあと、篠永が苦しんだのも知ってる。
だから篠永に直接詫びられないなら、篠永のような人を救いたいって思ったんだ」

彼が警察官を目指した理由が、私だなんて思いもしない。
それは嬉しいけれど、私が彼の人生を変えたかもしれないと思うと、苦しかった。

「でも、結局、それってわかってるつもりだけだったんだなって、気づいた。
女性は、男ってだけで怖いんだよな。
そんなこともわかってない自分が情けなくて、やり直そうと思っただけ。
だから、篠永は気にしなくていい」

「東本くん……。
ありがとう」

ちらっと、彼の目が私をうかがう。
こんなふうに考えられる彼はきっと、よい警察官になれると思う。

「じゃあ、いってきます」

「いってきます」

駒木さんと軽く唇を重ね、家を出る。
前に住んでいたマンションはもちろん、引き払った。
会社も変わらずに勤めている。

「おはようございます」

「おはよう、駒木さん」

私に気づき、新聞を読んでいた人事部長は顔を上げた。

「頼んでた仕事、どうなってるかな?」

「はい、それは……」

パソコンを立ち上げ、状況を確認して答える。
結局、コンペの結果は惨敗。
でも、相手のアイディアを聞いてこれは太刀打ちできないなと納得したので、恨みはない。
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