パーフェクトな警視にごくあま逮捕されました
インテリアとかはテレビでたまに見る、高級ホテルのスイートっぽい。

着替えが済んでベッドに戻り、携帯を掴んだ瞬間。
私のものとは違うアラームが鳴り響き、思わず携帯を放り投げていた。

「あっ」

慌ててキャッチしようとしたが、それは無情にも男――駒木さんの頭を直撃した。

「いたっ!」

悲鳴を上げた彼の目が、ぱっちりと勢いよく開く。

「え、なに?
……ニャレクサ、ストップ」

駒木さんの声でアラームが止まる。
たぶん、スマートスピーカーが置いてあるのだろう。

携帯がぶつかったところが痛むのか、頭をさすりながら駒木さんが起き上がる。
近くの棚に置いてあった眼鏡をかけ、こちらを向いた彼と目があった。

「おはよう、花夜乃さん」

途端に彼の目尻が下がり、ふにゃんと締まらない顔で笑う。

「起きたら一番に目に入ってくるのが花夜乃さんの顔だなんて、幸せだね」

「えっ、あっ、……ソウ、デスカ」

あらぬ方向を向き、だらだらと変な汗を掻いた。
おかげで、言葉はどこかぎこちない。

「起きたんなら朝食にしよう。
僕もすぐに着替えるよ」

大きく伸びをして彼がベッドから降りる。
まだ痛むのか寝室を出ていきながら頭をさすっているが、……とりあえず、黙っておこう。

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