幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました
 途方に暮れそうになった沙也。

 そのとき、ぱっと頭に浮かんだこと。


『風が気持ちいい』

『ちょっとしょっぱい』


 両方の感覚、自分も感じたことがある。

 そしてそのとき出会ったひとがいるではないか。

 とっさにスマホを持ち直した。

 震える手で、スケジュール帳を呼び出して、確認する。

 清登はもちろん仕事、でも移動の予定とは書いていない。

 それなら……もしかして、動いてくれるかもしれない。

 思い切ることにした。
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