鬼の子
「・・・私、出ないから!安心して!」
教室内を見渡すと、クラスメイトの表情は強張り、怪訝そうな顔をしている。
私が参加するなんて嫌がられる、と分かっていたはずなのに、胸の奥がチクリと突き刺されたように痛かった。
私のせいで、クラスの空気がどんより悪くなってしまった。
「出ればいいじゃん。なんでダメなわけ?
ダメな理由があるなら、この際ちゃんと口で伝えろよ」
殺伐としたクラスの雰囲気に動じることなく、淡々とした口調で言葉を投げかけた。それはまるで、クラスメイトを挑発しているような口ぶりだった。
「だって・・・・・、死にたくない」
「ねえ?正直さ・・・・・怖いよね」
「バスケって、体がぶつかったりするし」
クラスメイトの1人が口を開くと、他の子も次々と不満を話し出した。
みんなが、鬼の子に球技大会に出てほしくないと思っている事は知ってたけど、実際に言葉で聞くと。ザクリ。と心に刺さるものがある。聞けば聞くほど、しんどくなってくる。