朝を綴る詞
いつもと何一つ変わらない風景、
テレビに映るニュースキャスターたちは
いつもと変わらない面持ちで、
「おはようございます!」と
元気よく挨拶をしていた。

食卓にざっくりと作った朝食を並べて、
手を合わせて小さな声で
「いただきます」という。

こんがり狐色に焼けたトーストの上に
ウィンナー2本と目玉焼きを乗せて、
大きな口で齧り付く。
すると、黄身が割れて唇へと垂れてきた。



「熱っ!」



思わず皿の上にトーストらを投げ出す。

ドロドロになった朝食を見て溜息を吐く。

ツイてない。

ベトついていないところを探して、
指で摘み口の中へ運ぶ。


『本日のニュースはーーー。』



身形を整えた綺麗な女性キャスターが、
真剣な顔つきで今日あったニュースを
読み上げていく。

そのニュースを聴きながら、
会社へ行く支度を始める。

食器を片付けて、顔を洗い、歯を磨き、
身支度をした。

ざっと30分、全て終わると時間まで
ボーッとテレビを観る。



『いってらっしゃい!』



ニュースキャスターのその声を聴いてから
荷物を持ち、玄関へ向かう。


「いってきます」


誰もいない部屋へ向かってそう言うと
ドアを閉めた。


いつもと変わらない日常だ。


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