Delicious!!
そう言って笑う一子とは、高校生の頃同じクラスで僕が料理を食べさせたあの間宮一子だ。あの料理を食べた後、一子は「おいしい!」と言ってくれた。そこから健康的な食事を僕が色々と教え、ぽっちゃりだった体型はあっという間に健康的な体へとなっていき、僕たちは付き合うようになった。

「いただきます!」

カレーをお皿によそい、同時に手を合わせる。料理を作っている時間も楽しくて好きだけど、こうして家族や恋人、友達と手を合わせる瞬間も好き。

「ん〜、おいしい!さすがシェフ!」

「お褒めいただき、ありがとうございます」

ニコニコ笑いながら一子は何度も「おいしい」と言い、僕の頰も自然と緩む。シェフとしてお父さんたちのお店で働き始めたばかりだけど、こうして「おいしい」って言われるのは嬉しい。

これからもずっと一緒に「おいしい」と言い合えますように、そう思いながら僕はカレンダーを見る。来週は二人の交際記念日。その日は、いつもより豪華な食事を作ろうと張り切ってる。

そして、こっそり買っておいた指輪を渡すんだ。
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