Delicious!!
「一ノ瀬のハンバーグ、マジでおいしそう!あたしのおかずとも交換してよ!」

そう話しかけてきたのは、同じクラスメートの間宮一子(まみやいちこ)だった。彼女は学年で一番と言ってもいいほど、ぽっちゃりとしている。スカートがやけに窮屈そうだ。

「いいけど……」

僕がその体格に圧倒されながら言うと、間宮は「やった!」と言いながら自分のお弁当箱を持って来た。彼女の持っているお弁当箱は、まあ予想していた通り、おせちなどを入れる重箱かと思うほど大きい。

「好きなの、この中から選んで!」

そう間宮に言われてお弁当箱の中身を見た僕ーーーいや、僕たちは固まってしまった。その中身は一面が茶色だった。

お弁当の中に敷き詰められていたのは、唐揚げにミートボール、豚肉の生姜焼きにコロッケに鶏むね肉の照り焼きなどなど……。肉しか入っていない。ご飯の上にも牛肉が乗せられているくらいだ。このあまりにも酷いお弁当に、僕は思わず訊いてしまう。
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