私を包む,不器用で甘い溺愛。


「あいつの……榛名の親には俺から説明するよ」

「えっだけど私……!」

「君もこなつとおんなじさ,せめて1日休んだ方がいい。もし明日見舞うってんなら,挨拶はその時でいい。君の話も俺がしておく」



でもそんなのってないわ……!

私だって……



「ほら,震えてる。あいつが起きるの待ってたってすり減るだけだ。いいね? 来栖さん。俺もあいつの親にあいつの告げ口するようなこと,言わないから」



両肩を掴まれ,そのぎゅっとした温もりに,私は。

観念して,こくんと頷いた。

私に何を説明することが出来るだろう。

寧ろ話をややこしくしてしまうわ。

リーダーシップがあって,いつも皆の中心にいる甚平くん。

だからと彼の肩だけに押し付けるのは嫌だけど……

今はそれでいいと笑ってくれる彼を頼るしかない。

後ろ髪引かれる思いで,私は甚平くんに入り口まできっちり見送られた。

榛名くん……

早く,きっと元気になってね。

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