迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。

「えっと…この後、買い物に出ようと思っていたので…」


玲也は言葉を遮るように話し始めた。


「ちょど良かった。じゃあ少しだけ待っていてね。」


全く意味が分からない。
なにが、ちょうど良いのだろうか?

しかし、ニコニコと嬉しそうにしている玲也にそれ以上聞くことが出来ず、言われた通り待つことにした。
リビングのソファーに座り、待とうと思ったその時だった。


“ブーブーブー”


部屋の呼び出し音だろうか、部屋に音が鳴り響いた。
玲也がモニターのようなボタンを押すと、どうやらフロントの人に繋がるようだ。
フロントの人と話をしている。


「うん、僕の呼んだお客様達だから、部屋に案内してくれる。」


お客様とは、誰なのだろうと思っていると、間もなくドアのベルがなったのだ。


“ピンポーン”


玲也がドアを開けると、男性の声で丁寧な挨拶が聞こえて来た。
そして、ガタンガタンと何かを運び入れる音とともに、黒いスーツの男性が一名と女性が二名が部屋に入って来たではないか。
それに続いて沢山の服が掛けてあるハンガーラックや、大きな荷物が沢山入った箱が運び込まれた。
よくお店に置いてある長いハンガーラックと荷物をたくさん積んだ台車がガラガラと押されながら部屋に入って来たのだ。

何が起きているのかと、唯はポカンと口を開けていた。
部屋に入って来た男性達は、手際よく荷物を綺麗に並べ始めた。

すると、玲也が唯の方を向いた。


「唯さん、君の洋服が水没したと蓮に聞いたので、行きつけの店に来てもらったんだ。」

「お…お店に…き…来てもらったって…どういうことですか!」


しかも、この人達は黒いスーツに見たことのある社章を付けている。
このマークは、日本でも有数の老舗百貨店のようだ。


「一応、サイズは僕の妹くらいかな?と思って用意してもらったんだ。サイズが合わなければ、取り替えてもらえばいい。気に入った服があれば試着してみて欲しい。気に入らなければまた取り替えさせるから。」

運ばれたハンガーラックを見ると、どうやらどれも有名なハイブランドのようだ。
玲也たちに妹がいたことも驚いたが、この状況に頭がパニックになりそうだ。
しかも、こんな高級な服は買えないし、買った事もない。

唯は玲也に向かって慌てて声を出した。


「こ…こんな、高級品は私には買えません!」


すると玲也は首を横に振ったのだ。


「唯さんに払わせるなんて思っていないよ、これは蓮の迷惑に対するのお詫びだから、どうか受け取って欲しいんだ。」






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