迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
玲也の優しさかも知れないが、一緒に食事をしようと言ってくれた。
しかし、時間はもうとっくに日付は変わっている。
「玲也さん、無理しないでくださいね…本当に私が勝手に作っただけなので!」
すると、玲也は自分の口元に人差し指を当てて微笑んだのだ。
もう、話をするなと言っているようだ。
そして目の前の料理を見て口角を上げた。
「最高だね。久しぶりに日本の家庭料理だ。…すごく嬉しい。ありがとう。」
玲也は一番に肉じゃがのジャガイモを器用に箸でつまみ、嬉しそうに口へ運んだ。
そして、モグモグと二回ぐらいジャガイモを噛みしめて何も言わない。
これは、美味しくなかったのだろうか?
「お…お口に合いませんでしたか?」
すると玲也は大きく首を横に振ると真剣な顔をした。
「あまりにも美味しくて、感動で言葉が出ないほどだよ。唯ちゃんは料理上手だね。」
お世辞でも褒められると嬉しくなる。
玲也の言葉に安心して自分も肉じゃがを頬張った。
少し甘めのいつもの味だ。
「こんなに美味しい料理を食べれられるなんて、僕はラッキーだな。日本に帰って来て良かったよ。」
玲也の日本に帰ってきてよかったという言葉で思い出した。
唯の会社のCEOもフランスから来たばかりと皆が騒いでいた。
「玲也さんもフランスから日本に帰ってこられましたが、私の勤めている会社のCEOもフランスから帰って来たのですよ。…なんだかみんなイケメンCEOを見たくて大騒ぎでした。」
「そういえば、唯ちゃんはどんな会社にお勤めなの?」
「私は化粧品のブラックローズ社で働いているんです。私の憧れの会社でもあるんです。」
玲也はなぜか驚いた表情をする。
「そ…そうなんだ。その会社で部署はどこなの?」
「姉が好きだった化粧品が、大切な私の宝物なんです。そして…形見なんです。だから、いつかそんな素敵な化粧品を考える部署で働きたくて、企画部希望ですが、現実は営業課の営業事務です。」
「…ごめん。悲しい話を思い出させてしまったようだね。」
「大丈夫です。もう随分時間が経っていますから、…私の中で姉は一緒に生きている気がするんです。」