迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。
少しして、蓮と話をしている私達のほうへ、一人の男性が近づいて来た。
理子がその男性に向かって手を大きく振った。
どうやら理子の彼がお迎えに来てくれたようだ。
すると、理子は少し残念な様子でボソッと小声を出した。
「もう少しゆっくり迎えに来てほしかったな…こんな美少年めったに拝めないもんね。」
理子の彼は、見るからにとても真面目そうなひとだ。
そういえば、誠実な人柄に惹かれて好きになったと、理子が言っていたことを思い出した。
蓮に向かっていきなり深々と頭を下げたのだ。
蓮は驚いて目を丸くしている。
「いま、店に入って来る時に店員さんから聞きました。酔っ払いに絡まれていたところを、助けてくれたそうですね。ありがとうございます。」
さっきの事件は店の従業員が見ていたようだ。
蓮が男たちを止めないようであれば、間に入ろうとしていたようだった。
理子の彼は私達に丁寧に挨拶をすると、理子と手を繋ぎ歩き出した。
理子は笑顔で私達に手を振って幸せそうである。
理子たちを見送ると、蓮が私の方を見た。
「唯ちゃんは、僕が兄貴の家まで送るからちょっと待っててね。大学のサークル仲間にちょっと言ってくるからさ。」
蓮は大学のサークル仲間とこの店に来ていたようだ。
蓮がその仲間たちに何か話をすると、急いで戻ってきてくれたのだ。
「蓮くん、私は大丈夫だから、みんなともう少し呑んでいったら?」
すると蓮は大きく首を左右に振る。
「ちょうど帰る口実になって良かったよ。もう帰りたかったから、むしろラッキーだ。」
蓮はキラキラした瞳の片方を閉じて、ウィンクして見せた。