迷惑をかけた相手になぜか溺愛されたようです。

すると、私の言葉に腹を立てたのか、一人の男が私の腕を掴もうとした。
私は腕を掴まれる恐怖と痛みに目をギュッと閉じた。

しかし、少し時間が経っても腕は掴まれないし、痛みもない。
ゆっくりと目を開けると、私の前に若い男性が壁のように立っている。
どうやら、庇ってくれたようだ。

「おじさんたち何してるの?この女性たちは嫌がっているのに分からないの?」

「この、クソガキ何を言うんだ!それにおじさんじゃない、お兄さんだろ!!」

その若い男は、フッと鼻で男たちを笑いながら、私達の方を振り向いた。
次の瞬間、私は思わず大きな声をあげていた。

「…蓮くん!!」

驚いたことに、そこに居たのは水漏れ事件を起こした蓮だ。
蓮は私達を見てニコリと笑った。

「誰かと思えば、唯ちゃんじゃないか。こんなに遅くまで女性二人でいたら危ないよ。」

男たちは蓮が私達の方を向き、微笑んだ隙をついて殴りかかろうと動き出した。
すると、その時だった。

「イ…イ…痛い!!このガキ!」

蓮は軽やかな身のこなしで男たちをかわすと、素早く腕を掴み、その腕をねじったのだ。

「もう、この女性たちに、纏わりつかないって約束すれば、この腕を離してあげるけど…約束できなければ、もっとねじるよ。」

蓮は涼しい顔で口角を上げて話している。
こんなに蓮が強いとは驚きだ。

「は…離せよ…俺たちはもう帰る!」

蓮が腕を離した瞬間、男たちは逃げるようにどこかへ去って行ったのだ。

「蓮くん、ありがとう。助かった…でも、すごい強いんだね、驚いた。」

すると、それまで何も言わずに静かにしていた理子が、目を大きくした。

「唯!この綺麗な男の子は知り合いなの?モデルさん?」

蓮は理子に向かって微笑んだ。

「はじめまして、僕は唯ちゃんの上の階に住んでいた蓮と言います。」

「…上の階?」

理子はいきなり何かを思い出したように、大きな声を上げた。

「ああ~っ!!唯の部屋に水漏れ事件起こした上の階の住人?」

蓮は理子の言葉を聞いて、照れくさそうに頭を掻き始めた。

「そうだけど…その節は、唯ちゃんに大きな迷惑かけちゃって…反省してます。」


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